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[ワイン会レポート] 10/27 60年の時を越えた銘醸古酒とともに味わう、ワインと料理の美味しい調和
2024.11.07
10月27日(日)、レストランぶどうの森 レ・トネルにてワイン会が開催されました。
ソムリエ・ドヌールでもいらっしゃる料理評論家・山本益博氏が、ぶどうの森の地下セラーに眠っていたワインから6本をセレクト。テイスティングの方法やタイミング、お料理のスタイルにも山本氏の美学がつまった、特別なワイン会の様子をお届けします。
〇日時:2024年10月27日 12:00~
〇会場:レストランぶどうの森 レ・トネル
[ワインリスト]
<ボルドーオールドヴィンテージ>
・CH.MARGAUX 1961
・CH.MOUTON ROTHSCHILD 1961
・CH.COS D’ESTOURNEL 1955
<お食事と共に>
・BOLLINGER LA GRANDE ANNEE
・CH.PICHON LONGUEVILLE COMTESSE DE LALANDE 1997
・CH.RIEUSSEC 2016
まずはボランジェ グラン・ダネで乾杯。
アミューズと前菜で軽くお腹を満たしてから、主役ワインのテイスティングへと移るのが山本氏の流儀です。
通常ワイン会では、1番最初にテイスティングをおこないますが、遠方からお越しのお客様もいらっしゃるので、まずは喉を潤していただきます。
そうすることで偉大なワインへの期待感をより一層高めることができます。
「ワインの醸造長は、そのワインが何十年後かに良くなると思って造っている。
そのワインが最高潮の時には自身は生きていなくて飲めないかもしれないのに…。
だからこそ、造り手の気持ちに思いを馳せながら飲みたいのです。」と、山本氏。リスペクトを表し、感性を研ぎ澄ましてワインと対峙します。
古酒のコルクがカビで覆われているのは、湿度が正しく管理されていた証拠
注がれていくシャトー・ムートン・ロートシルト1961
[ソムリエのコメント]
・シャトー・マルゴー 1961
1961年フランス・ボルドー地方は【偉大な年】と言われます。 最高と評された1945年としばしば比較される程ビッグヴィンテージです。
シャトー・マルゴーは「ワインの女王」といわれるボルドーワインの中でも「最も女性的」と称えられています。慎重に抜栓してしばらくすると、溢れんばかりの控えめながら豊かな果実味をすぐに感じることができました。60年以上前のワインなので、デキャンタ―ジュはせず、グラスの中で静かに変わりゆく様を皆さん楽しんでらっしゃいました。
長年の熟成を経て尚、若々しく、色艶があり、香りに躍動感があり刻々と変化します。
はじめは酸味があり、味わいと香りがまとまっていませんでしたが、1時間を越えたあたりから、味わい深く、丸みがあり、香りに気品と奥深さが加わりました。
グランヴァンとはこのことかと、改めて感じる経験でした。
・シャトー・ムートン・ロートシルト 1961
61年のムートン・ロートシルトは品質にばらつきがあり、評価が分かれるという悪いレッテルが張られていたので、この1本が当たりなのか、外れなのかドキドキしながら慎重に抜栓しました。結果は偉大なヴィンテージ61年を彷彿とさせる偉大なワインでした!明らかにマルゴーよりも色が濃く、若々しく、落ち着いていて、深淵な香りがありました。はじめはマルゴーを凌駕する力強さとバランス。1時間ほどして、マルゴーが、類まれな香りと味わいの調和を魅せ、3時間後でも、二つのワインはそれぞれの魅力的な香りを途切れることなく静かに放ち続けました。
ゆったりと語らいが続き、やがてお食事を再開。テーブルに天然のきのこといただく猪のコンソメの後、フォアグラのお料理が運ばれます。シャトー・リューセックをあわせ、フォアグラとソーテルヌの伝統的なマリアージュを再現しました。
金木犀酒の軽やかな泡をのせ、フォアグラの脂でソテーした柿のコンポートを添えた
続いてピション ラランドと共にいただくのは、山鳩のロティ。その濃厚ながら繊細な肉質と味わいに、シャトーマルゴー61の澱を加えたソースが華やかで優美な風味を与えます。
ロゼ色の鳩肉を主役に、深まる秋を映したような色合いの一皿。ふわりと花梨酢が香る
デザートの前に、とろりと熟成したフランス産チーズもご用意しました。年代物のワインをお食事と合わせる場合には、チーズのクリーミーさが大きな助けになる場合もあるのだとか。山本氏に促され、シャトーマルゴーやシャトームートンをチーズとあわせて召し上がるゲストの皆様。すぐさま、「全く違う、まるで別のワインのようだ」と驚きの声があがっていました。
スイスとの国境でつくられる、季節限定のウォッシュチーズ“Mont d’Or(モンドール)”
シャトー・リューセックが再びグラスに注がれ、3品のデザートが続きます。なかでも高い評価をいただいたのが、黒トリュフのブリュレ。複雑な香りが豊かに立ち上がるその味わいに、「120点あげましょう」と山本氏のお墨付きをいただきました。
黒トリュフのブリュレ。計算されたなめらかさが、口の中を芳醇な香りで満たしていく
[ワイン会を終えて]
「食事もワインも、自分ひとりで楽しむのではなく、みんなで分かち合うことが美味しい。」山本氏のこの言葉が印象的でした。同じものをいただいた人との間に語らいが生まれることこそ、分かち合う美味しさの正体なのだとしたら…。時や国を越えた語らいを生むワインの偉大さには、ただただ敬服するばかりです。
最後になりますが、ご参加いただきました皆さまに改めて心より感謝申し上げます。
[次回ワイン会のお知らせ]
《日時》2025年3月16日(日)12:00~
《場所》レストランぶどうの森 レ・トネル
《定員》8名様
詳細のお問い合わせやご参加希望の方は、以下のお問い合わせフォーム、もしくはお電話にてお問合せくださいませ。